2015年3月20日金曜日

黒髪をヘナで染める・その1−濃い色に植物の色は影響するのか

真っ黒な髪をヘナで染めた。一般的に、黒髪にヘナで色を入れてもほとんどわからないといわれている。しかし私にはヘナについて鮮烈な思い出がある。10年ほど前、ラッシュでバイトをしていたとき、製品を実際に使用して、効用を身体で知るのも仕事のうちだった。ある日バイト仲間がヘナ入りシャンプーバーを使い始めた。柔らかな髪のボブカットがサラサラとまとまりよくいっそう魅力的になってゆき、「髪にハリが出てやめられない」と気に入った様子だったある日、一見黒いのだが、光が射すとオレンジ色に光るようになった。次第に赤く輝くようになって、常用を止めたほど。その彼女の髪質は細いから、と当時の私にはよけいに眩しかったのかもしれないが、神秘的でよいものというイメージがあたためられていった。

経皮毒の観点からケミカルでのヘアダイに疑問を持ったころ、髪に「草木染め」をほどこす方法があるという。サロンをネットでみつけて行ってみると、担当してくれた方は私の髪コンプレックスを解消してくれたヘアサロンにお勤めだった方で、おまかせして安心できるサロンを見つけて、より気が楽になった。本当にありがたいご縁だった。決して私の髪質をあれこれジャッジしないひとで、明確になりたい髪型や髪色がなくても(これは私の精神的傾向だった)ニュートラルに相談にのってくれ、仕上げてくれる。私の髪には「うこん」がよいとのこと。「草木染めだけでは色が明るくならないので、ケミカルと合わせて」という処方、つまり化学薬品をつかって染めてから、うこんの草木染めを施してくれる。仕上がりは柔らかく、とても気に入っていたが、どことなく割り切れない気持ちが残っていた。それはヘアサロンやケミカルの毛染めが悪いのではなくて、自分の考えにあることに気づいた。方法だけでなく、自分自身の存在をも否定する“こころ”だ。私は茶色い髪を手に入れてコンプレックスを解消したと思っていたが、根本的に、生まれたままでなにがいけないのか自分に聞いてみることにして、そのままを受け入れられるようになってみたいと望み、ヘアサロンへ通うことを止め、丸2年が経った。

南インドに行って、これは!と思うことがあった。チェンナイに移ってから、露骨に顔が黄色い人がいるのだ。それは皆女性で、ドラヴィタ人の肌の色ではあるのだけれど、明らかに黄色が添加されている。肌の色があまり濃くない人は、本当に真っ黄色で、病気かカレーの食べ過ぎかと心配した。デリケートな質問になりそうで尋ねる勇気もなく過ごしていると、お寺のお祝いの日に訪ねた家の方に、布とショウガのカリカリに乾いたようなものとコインを1枚もらった。ショウガにしてはいささか黄色い。となると、ターメリック…。これは何かと尋ねてみると、「ターメリックよ。お風呂で毎日肌に擦り込めば、ピカピカでいられるのよ。」とのこと。「じゃあ街で見かける黄色い顔の人たちは、美容のためにしているのね?」「そうよ。年齢を重ねた人が若くいるために使っていることが多いわね。ターメリックは食べてもいいし、塗ってもいいの。欠かせない万能のスパイスよ!」「黄色くしたくてしているの?黄色くなっておかしいとかは思わない?それとも黄色が美しいの?」「美容のためよ。それにおかしいとは思わないわ。肌をツルツルに若く保つずっと昔からの知恵なの。」私の髪を柔らかく染めてくれていた「うこん」を美容の要として使っていたのだ。殺菌作用や紫外線を防ぐ作用もあるもよう。そういえば、旅の途中に買ったフェイシャルパックはターメリックから出来ていた。そうか、染まるのか。そうだよな、ターメリックだもの。試してみたかったが、顔が黄色になるのにまだ抵抗があったので止めておいた。それにしても、褐色の肌に黄色が足された色はもはやただの褐色ではなく、黄金色なのであった。濃い色にも植物の色は影響するのだ、と激しく印象に残った。

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