2014年9月14日日曜日

お気に入りだったスーパーに行って

 大好きな友だちの顔を見にひさびさに遠出した帰り、お気に入りだったスーパーへ寄った。旬楽膳・地アミ店。自然食品や有機野菜、こだわりの調味料、安全に気を配られた日用品などが揃うまことに見事なスーパーマーケット。

 私は食べることが好きだった。おいしいものをたくさん食べさせてもらったし、働いて得たお金で外食もした。料理も好きで、好物にはとくに凝って研究した。ところが、20代後半から食生活に対する価値観がどんどん変わり、いまではほぼ菜食。おどろくほどシンプルになった。地元のスーパーマーケットに行っても、購入するものが野菜か豆か限られた調味料ほどになり、家族が家庭菜園に目覚めてからは、野菜を買う楽しみもなくなり、あれだけ好きだったスーパーマーケットめぐりも遠のいていった。スーパーめぐりは、ごくたまに旅先で、地物野菜に目を輝かせ、特産品を探してフロアをしつこくうろうろする特殊な趣味に返り咲いた。

 さて、旬楽膳。ここにただ寄りたくて、会員カードもちゃんと探してから来た。どうしても必要なものは別段ない。とにかく神経の行き届いた感じのセレクトで、わくわくする。いいなぁと思いながらも、以前繰り返し買っていたオリジナルの時鮭は、同じ物かもしれないが、メーカーの冷凍物に。すりおろし玉ねぎとにんじんが味わい深いオリジナルドレッシングも様変わり。神と崇めていたオーサワの野菜ブイヨンにも手が伸びず、ほかのものもほとんどいまのわたしには必要なく、なんだか寂しいような気持ち。これらのものも考えてみれば、鮭はほとんど食べないし、オリジナルドレッシングは食べると必ず顔に吹き出物が出来たし、野菜ブイヨンもいまは使うシーンがないのだった。残念だけど、そうなんだ。

 それでもそれでも。こんな夢のようなスーパー、ほかにない。やっぱりフワフワとうれしい感覚に、意識的に生きるはずのわたしはあらら?レジを済ませて、なんだか高級だったなと思い、エコバッグの中身をみる。あまり進んで食べないはずの鮭、肝臓洗浄用だったりんごジュース、誰かにおすそわけしないと食べ過ぎちゃうマフィンを作る用の全粒粉と、青いペットボトルが欲しくて買ったイタリアの水。そしておいしい生絞りワイン。けどこれももうほとんど飲まないのに買ってる。観察しているつもりが、また意識を保てないのであった。かつての習慣、おいしかった記憶の名残が、エコバッグのなか、なんだかくすんで、蜃気楼のように見えた。意識的でいること、どうやったら保てるかと問う。それでも、まあまあ落ち着いていたんじゃないでしょうか。姿勢正しく、なっていくはず。

 家に帰ってきたら、旬楽膳からクーポン入りの手紙が届いていた。ちょっぴりビターにニヤリ。やっぱりまた行きたいところ。かつての習慣だからではなく、つきあえたらいい。親友たちとの関係も、そうだったらいい。今夜も祈って眠る。

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